『香川日独協会会報 第14号(2008年11月発行) 巻頭言より
香川日独協会 会長 中村敏子
2007年4月群馬県草津で行われた全国日独協会連合会総会の主題は「日本の若者をいかにしてドイツに関心をむけるか」ということにつきた。は じめての試みとして別枠で各地日独協会から若い会員が出席し今の彼らをとりまく情勢と日独友好をめざして何ができるかなどについて討論がなされたと聞く。 多くの若者の目線がアメリカとアジア(中国)に向けられている今は、香川でも同様に外国語講座の受講生の動向とよく似た様相を呈している。ともあれ友好交 流は地道な人と人との信頼関係が積み重なって友情の絆となり又若者をも引き付ける魅力の一つになるのではないだろうか。駐日デア独大使からはこれからの日 独両国の若者をいかにしてお互いの国、文化、学術、芸術などに関心を向けさせるかが課題であるとの喚起があった。香川日独協会からも若者代表として長澤あ い会員、中尾友紀会員の2名が参加した。彼女たちによるとはじめての取り組みは今後に大きな課題を残して終了したものの、大使ご自身の言葉で「若者を育て ることが最大の目標」とのスピーチに感動したようであった。きっと大きな希望と責任を感じたことであろう。
こうした流れの中で香川日独協会では会発足以来、学生会員としての登録をしてきた若者たちの間に熟年層と同じ行事で同時開催となると経 済的、行事内容など様々なところにひずみが生じるということがわかり、最近では若者たちのいらだちのようなものが手にとるように伝わってきた。ここで別ス タイルのグループ作りの必要性を痛感していた。そして群馬での若者会議を契機にこの変化をどこかいい形でジャンプさせなければならないとまわりの方々と相 談しその機をさぐってもいた。
そんな矢先7月、駐日ドイツ大使ご夫妻 駐日フランス大使ご夫妻が同時に来県という素晴らしい機会にめぐまれた。だが、香川での両大使 ご一行の滞在時間は1泊を含めて17時間という非常にタイトなスケジュールが大使館から発表された。徳島経由で香川を訪問され、翌早朝、高知へ発たれると いう極めて短い滞在であった。EUの中心をになうドイツ、フランス両大使のご訪問は真鍋香川県知事、大西高松市長の表敬からはじまり各地の視察と香川独・ 仏両協会合同のレセプションなど暑い最中のさぬき路をかけるには余りにも厳しいものであった。なにはともあれこの好機を逃しては若者たちが意気消沈すると の想いと彼らの熱意を訴えて大使館側とのやりとりで細かい時間調整が続き、あとは大使ご自身のご判断をお待ちすることとなった。
間髪をいれず大使からのありがたいご指示と強いご要望により19日夕刻、宿泊ホテルでの茶話会30分という貴重な時間を若者たちにいた だいた。これで彼らの望んでいた駐日独大使ご臨席のもと「若者の会」発足という大きな願いに一歩近づくこととなった。今振り返ると、独在住の友人を通じて のアレクサ独大使夫人との信頼関係がこの度のご配慮におよびご夫人に負うところも大であったと感謝いたしている。勢いづいた若者たちはあれよあれよという 間に20名ちかく集まり各自役割分担し試行錯誤しながらこの日のための計画表を見せてくれるまでになった。すでに各自の得意分野を上手く拾い上げこのまま 会に移行しても機能する陣容に目をみはり、逞しいエネルギーにも驚かされた。当日は分刻みの短い茶話会の場であったが、直接ドイツ大使に励ましと勇気をい ただいたということは何よりも彼らの意気を掻き立て震えるような魂を頂いたことであろう。「若者の会」JG Kagawaの立ち上げ発足については別項でメンバーが素直な感想を記述しているのでご参照いただきたい。この時の感動を忘れず7月19日を彼らの記念日 として胸に収めてほしいと思う。発足と同時にJG Kagawaの目標を記した申し合わせ事項もできあがった。その後の活動については自主運営ということで香川日独協会本体は干渉せず、ただ尋ねられ相談を されればそれに応じて報告を待つということにしている。
2008年3月「ドイツの社会福祉史展」をアイパル香川で開催した時には若者の会のメンバーの助けで3週間という長期開催を成し遂げる ことができた。また、展示にあたりドイツ大使館から広報担当部長クラウス・フィーツェ氏が来県され会員と一緒に汗を拭きながら作業された様子に触発され、 開会式には大勢の方の参加と手伝いを申し出てくださった。この時も僅かの空き時間をいただいてフィーツェ部長と若者たちとの話し合いの会がもたれ部長から はご家族の話にまでおよぶ和やかな時間を過ごしたようである。「若者の会」の活動はHPの立ち上げ、国際交流の行事には積極的に参加、月1回のシュタム ティッシュを持ち時に応じた楽しむ会も開催、Web上での交流などなどの報告を受けている。会運営の基本は会員全員に公平に周知し事にあたることをモッ トーにしているという。メンバー達が力を合わせ全国的に注目される「若者の会」として育ってくれているのはこの上ない喜びである。