近年にない猛暑の7月20日、 駐日ドイツ連邦共和国特命全権大使 Dr. フォルカー シュタンツェル閣下が来県されました。 公式行事として香川県知事表敬訪問、四国経済連合会会長表敬訪問が行われ、その後、香川日独協会若者の会メンバーと共に栗林公園を観光された後、メインの行事である講演会で「今後の日独関係への考察」と題して講演されました。
- 講師のプロフィール
- 1948 クロンベルク(フランクフルト近郊)出身
- 1968 フランクフルト大学にて日本学、中国学、政治学専攻
- 1972 京都大学へ留学 (3年間)
- 1979 ドイツ連邦政府外務省入省
- 1980 ケルン大学にて博士号取得(Ph.D)
- 1982 在日大使館 政務・広報担当
- 2004 駐中国大使
- 2007 本省 政務総局長
- 2009 駐日大使
公式行事1 知事表敬訪問
空路高松へ到着されたシュタンツェル大使は、出迎えた武部会長、宮内理事の案内で香川県庁を訪問されました。 県庁1階車寄せに到着すると、川池知事公室長、田川国際課長の出迎えを受け、公室長の案内で知事応接室へ向かいました。エレベーターを降りると、真鍋知事、高木副知事の出迎えを受け、知事のご案内で応接室へ通されました。
公式の挨拶以外はすべて日本語で会話され、スイスに駐在の経験のある真鍋知事とは話が弾みました。真鍋知事からは昨日始まった瀬戸内芸術祭の説明があり、大使も大変興味を持たれているようでした。会見は予定していた時間をオーバーするほど、弾みました。
公式行事2 四経連会長表敬訪問
知事表敬の後、シュタンツェル大使は四国電力本社内にある四経連を訪問し、会長の常盤百樹氏と会見されました。玉藻城、瀬戸内海が一望できる応接室で、常盤会長は昨年訪問したドイツの話を交え、ドイツへの親近感をお話しになりました。また、大使と常盤会長は京都大学の同窓で、同じ時期に京都で生活されており、京都の話題でも盛り上がりました。
栗林公園観光
シュタンツェル大使は、多忙なスケジュールの中栗林公園観光を観光され、武部会長及び向井副会長、そして日独協会若者の会メンバー5名も同行させて頂きました。
夏真っ盛りの暑い日差しの中、栗林公園那須所長様の庭園や建築物の歴史に始まり、至る所で目にする松や庭石の由来や意味、各所での見どころといった情熱的で細やかなご説明のもと、シュタンツェル大使も「一歩一景」をご堪能された様子でした。
散策の途中では、掬月亭において素晴らしい景色を眺めながらの休憩をとりました。そこではとても猛暑と思えないほど涼しく、心地よい風がしばし夏の暑さを忘れさせてくれました。冷たいお抹茶と和菓子に舌鼓を打ちながら、穏やかな歓談の時間となりました。
何度訪れてもその表情や美しさに飽きることのないこの公園をシュタンツェル大使に興味深く散策していただき、また貴重なお時間の中、共に時間を過ごさせていただいたことを、深く感謝したいと思います。 (多木真由美)
大使講演会
瀬戸内海の展望が開け、当日は特に夕日の美しいかがわ国際会議場で開催され、演題は「今後の日独関係への考察」でした。200名を超す会場を埋め付くす満員の聴衆を前に、過去の日独関係の発展の歴史を踏た今後の交流の取り組み方と展望について興味深い講演をされました。
戦後の両国の発展プロセスは似通っており、他国との関係と比較して経済的交流よりも学術的交流が盛んであったことが大きな特徴として挙げられました。そしてさらに国と国よりも人と人との交流があったことは、現在のような信頼関係を築く礎となり、環境問題、資源安定供給などの複雑な問題を解決する重要な要素であると示唆されました。
市民ひとりひとりの取り組みにかかっている市民レベルでの両国の真の交流は、来年の日独交流150周年が良い契機になるだろうという大きな期待での講演のしめくくりです。
その後30分にわたり、活発な質疑応答が交わされましたが、一貫してソフトパワーの重要性と両国の類似性、日本への敬意と愛情を表現する大使のご姿勢には、香川日独協会として大いに励まされる一日となりました。