事後報告 イザローンを振り返る11 「跳び箱の練習で学んだこと」

Nummer11をお送りいたします。
子供達が私に向かって突進!! 私はそれを真正面からしっかり受け止める!! 10、11月、小学校の体育の授業で、子供達と跳び箱の練習に励みました。先生は、まず、跳び箱が得意な子と苦手な子に分けました。得意な子供達は、よりレベルの高い技を、苦手な子供達は、確実に跳べるように練習していきました。
私は、毎回、苦手な子供達の担当をさせてもらいました。具体的には、跳び箱のすぐ後ろに立って、彼らが跳んだときに、両腕をつかんで、前に引き寄せる、という補助と、その後アドバイスを与える役割です。
さて、いざ、練習に入ると、跳び箱に向かって走ってくる子供達の顔は、みんな真剣。そして、彼らを待ち構えている私は、それ以上に真剣。スピードが足りず跳び越えられない子、バランスを崩してしまう子、私と同じくらいの体格の子、助けは要らないと主張する子、どの子をも、しっかりと確実に受け止めなければなりません。もし、失敗すると、彼らは、恐怖感を覚え、もう、こちらに向かって走ってきてくれないでしょう。だからこそ、待ち構えているとき、「お願い!」と言わんばかりの子供達の気迫と、緊張感に私は押しつぶされそうでした。
役目は、まだ続きます。受け止めた子が、自分ひとりで跳んだ時のイメージがわく様に、前方へ導いてあげること、そして、それぞれに必要なアドバイスを実際に示しながら与えること、その点が少しでも達成できれば、しっかり褒め、一緒になって喜ぶこと。できていなくても、君ならできる、と自信を持たせること。実際に、喜んでいる顔をみると、こちらも自然に嬉しくなりました。
汗だくになりながら、何度も何度も練習してきた結果、なんとあるクラスは、全員跳び箱が出来るようになりました。「スポーツ万能のクラスだね。」と先生が子供達を褒めてあげました。
たかが跳び箱。しかし、思っていた以上に気力と体力を消耗し、また、子供達とのつながりを強めてくれた、有意義な授業でした。そして、この跳び箱的受け止め方は、日常の学校生活においても重要なのではないかと思いました。子供達のメッセージを真正面から受け止め、それに対して、自分の力で次に進めるような手助けをしてあげる、その成果を一緒に分かち合う。。。
長澤 あい