映画会「バルーン 奇蹟の脱出飛行」

2022年12月18日、高松市の讃岐おもちゃ美術館のカフェにおいて、当協会主催のクリスマスパーティーに先立ち、3年ぶりとなるドイツ映画鑑賞会を開催いたしました。今回の上映映画は「バルーン 奇蹟の脱出飛行」(原題:BALLOON, 2018年, ドイツ)です。

舞台は1979年、まだ東西ドイツ間の国境が厚く閉ざされていた時代の旧東ドイツのテューリンゲン州。この夏、電気技師ペーターとその家族は手作りの気球に乗って西ドイツに亡命を試みようとするものの、国境を越える直前で不時着してしまいます。再びこの重苦しい国の中で息を潜めるように暮らすことになるのかと落胆。しかし妻と息子に背中を押されたペーターは、気球を新たに作り直して脱出に再挑戦しようとします。最初の失敗の時に現場に残された様々な手がかりをもとに始まったシュタージ(国家秘密警察)の捜査の手が及ぼうとする中、ペーターたちは共に逃亡を企てる友人家族と一緒に新たな気球を作ります。

作中では、東ドイツを脱出しようとするペーター一家がベルリンへ家族旅行に出かけ、アメリカ大使館に接触を試みようとしたり、大量の布地を調達しようとする中で当局に目をつけられたりします。亡命者を許さないシュタージの包囲網の中で追い詰められていくペーター一家の緊迫する様子が、最高のサスペンスとなっています。当時の東ドイツは悪名高き閉鎖国家でした。そのような中で家族が助け合いながら危険を顧みず自由を求めようとする姿に、強い感動を覚えます。

上映はカフェの壁面をスクリーンにして、プロジェクタを使って大きく映し出しました。大きなスピーカーによる音響も十分で、鑑賞していただいた皆さんには、手に汗握る映画の展開も合わせて、お楽しみいただけたと思います。亡命を試みようとするペーター一家が2度目の脱出までにどのような状況に置かれたのか、また2度目の脱出を試みてどのようになったのか…。この行事においでいただけなかった皆さんにも、ビデオレンタルなどをしていただくなどしてぜひ鑑賞していただけたらと思います。

副会長 玉垣 光伺朗